初めて見た野外バレエ
平成17年8月1日
山梨車いす生活者の会・ステップアップ
三村 麻理子
「清里でバレエがあるんだけど見に行く?」と夫に聞いてみた。
夫は36年前に交通事故で脊髄損傷者になり、現在は電動車いすで生活している。体力が無いのでほとんど外出することがない。たぶん「行かない」と答えると思ったが、意外にも「見ているだけなら大丈夫だから行く」という返事が返ってきた。
午後6時半に清里に着くと、甲府シティライオンズクラブの皆様が待っていてくださった。車から私たち二人の車いすを降ろしてタイヤを取り付け、会場である「萌木の村広場 特設野外劇場」まで車いすを押して下さった。歩道はとても綺麗に整備されていたが、かなりきつい傾斜があり、ひとりでは登っていけない道だった。初めて見る萌木の村の景色、そして、これから始まる野外バレエへの期待で心がうきうきした。
午後7時会場となり、パンフレットとプログラムを配るお手伝いをした。入場者の中には知り合いの人もいて、私達が来ているのを不
思議そうな目で見た。いつも家の中に閉じこもりの夫が、清里でバレエのプログラムを配っているのだから驚くのも無理はない。
午後8時、いよいよ開演となった。清里に到着したときは暑かったが、足元が急に冷え込んできた。甲府を出発するとき「少し大げさかな?」とおもいつつ、フリースの上着を用意してきたが、それを膝の上にかけると暖かくなった。夫もジャンバーを着た。
「白鳥の湖」が始まった。照明がつくと、私たちは湖のほとりにいた。とゆうよりも、正確には丘の上から下方の湖を眺めているという感じだった。森の木々の葉が風にゆれ、天空に向かって音楽が流れ、現実とは思えない世界にぐんぐん引き込まれていった。
途中20分の休憩があり、子どもたちのためにメリーゴーランドが無料で開放され。薄暗い森の向こうに、きらきらと光輝くメリーゴーランドが浮かび上がった。たくさんの親子連れがメリーゴーランドに向かって歩いて行ったが
、20分後には戻って来てメリーゴーランドのの明かりも消えて真暗になった。そんな風景さえ、なんだか夢の中の出来事のように思えた。
公演が終わり会場を出るとバレリーナの方々に会った。少し寒いくらいの清里なのに踊っていて汗びっしょりになったという。私たちの目には白鳥が舞っていると映っていたが、本当はダンサーたちが力いっぱい踊っていたことに気がついて現実に戻った。
短い時間だったけれど、夢のような美しい世界に行って来ることができて本当に良かった。甲府シティライオンズクラブの皆さん、そして「清里フィールドバレエ」関係者の皆さん、ありがとうございました。